労働大学再建20周年記念集会

労働大学再建20周年記念集会 2023年6月11日 北とぴあ
 労働大学再建20周年記念集会開催される
 
 

記念講演

困難を乗り越えて、「労働大学」再建の歩み


労働大学 学長 須藤行彦

労大運動とは大衆学習運動である

1979年、労働大学結成25周年集会に全国から3000人を結集して、それまでの総括にたって「労大運動とは大衆学習運動である」という方針を確認し合いました。大衆学習運動は、具体的には「学習と相互討論」の積み重ねです。信頼関係に基づき共感しあうことです。

一方で、旧労大指導部は「労働大学が変質させられた」として、25周年の総括・基調「学習 反合理化 社会主義」を否定し自ら変質していきました。「階級的視点を失えば理論は崩壊してゆく、理論なき実践は盲目である」と言われています。1990年、労働大学事務局会議を解散し、労働大学の外部に「理事会」を作り経営の全権を渡し、路線問題に決着をつけようとしました。

1991年3月、篠藤光行会長による「基本的指導文書」が発せられ、「全協」凍結、解散(1994年7月28日)へと組織を破壊しました。

1993年には中小路理事長と塚元敦義「三池研」代表で「覚書」を交わし1994年1月から、労大専従11名を「戦線移行」の名で県専従体制が始まりました。さらに1996年、柳本支局長等の解任を強行実施してきました。

この情勢の背景には、1971年の金ドル交換停止、73年の変動相場制への移行、「国家独占資本主義体制の破綻」という新自由主義への歴史的な大転換が、労働者思想の排除、労働者運動圧殺への攻撃として露になりました。

 

労大闘争は思想闘争である

1996年7月、「『全協』再建をめざす労働大学まなぶ友の会県協連絡会議」を発足させ「大衆学習運動」の全国的運動に努力をしてきました。

1999年3月「労動大学労働組合結成」に対し同年11月、理事会側は、荒畑勝、手塚敏行、柳本勝彦、3名に対し指名解雇を強行し、東京地裁での裁判闘争に入りました。このたたかいを支えようと「労働大学労働組合支援共闘会議」が発足し、坂牛哲郎代表のもとに全国の心ある仲間が結集し、生活も含めた支援活動が始まりました。坂牛哲郎代表は「労大闘争は思想闘争である」と提起しました。「労働者が学ぶ」ということは、自分の置かれている社会的立場をハッキリ知ることである。そして、社会を支えているのは労働者であることを自覚し、労働者が主人公であるような社会をつくることである。…日本を震撼させた三池闘争のとき、60年4月から11月まで、闘争の最重要局面に連日『日刊社会主義』が発刊され、向坂逸郎を中心に『資本論』学習会がもたれた。労大の原点はここにある。と、述べられました。

2001年9月、私たちは『まなぶの仲間』を発刊し大衆学習運動の再建への道に踏み出しました。その後、内部に情勢の捉え方などの路線の相違が生まれ、東北、中日本。九州ブロックの脱落問題がありましたが、再建への道は着実に前進してきました。裁判闘争では、組合員解雇は偽装である点を追求し、東京地裁において、2002年12月17日「3名の解雇無効の勝利判決」を勝ち取りました。勝利した3名が今回のたたかいで得たものは「団結の中に身を置けば生きられる」という素晴らしい教訓です。

 

真の「労働大学」再建の力に

2003年5月31日、理事会側は一方的・強引に「労働大学」解散の暴挙に出ました。私たちは、直ちに抗議するとともに「労働大学再建」への取り組みに全力をあげました。

「労働大学再建集会」が行われたのが、2003年11月24日、坂牛哲郎学長、荒畑勝事務局長の下に全国から熱い思いをもって結集しました。

その意義と課題として、①科学的社会主義の追及、理論と実践の統一を追求していく。②職場抵抗闘争を軸とした、階級的労働運動の追及、反「連合」の立場に立つ態度を明確にし、闘う労働者と共に歩むこと。③労大再建の主体は、友の会運動・大衆学習運動であり、それと一体となってすすめる。以上3点を意思統一しました。困難な中でも希望の光が見えたのは、みんなの努力で2004年1月『月刊まなぶ』創刊号を誕生させることが出来たことです。

第1回労働大学総会は、2004年11月23日、文京区民センターに全国から困難を乗り越えて結集し、大きな一歩を踏み出しました。坂牛哲郎学長の著書『社会を変える、自分を変える』出版を記念する場ともなりました。

 

労働者運動の後退の原因、総括運動に学ぶ

戦後、労働運動の中で、最も困難だったのが職場闘争であり、残念ながら最も不十分だったのが職場闘争であったと言われています。

総括運動から出された、反合理化職場抵抗闘争の意義の追及について、①反合理化闘争の主体的力量、つまり組織づくりをぬきに論じることはできない。反合理化闘争とは、階級的組織づくりにほかならない。②大衆路線と無縁な反合理化闘争路線は、ありえない。③職場闘争が、資本主義の基本矛盾にそった最も科学的、階級的闘争形態である。④労資関係は、基本的に「不安定」であり、その「安定化」はあり得ないという路線。⑤反合理化闘争の基調は、資本の非人間化に対する労働者の人間性回復闘争である。と、いうものです。

資本主義体制がつづく限り、労働者に対する搾取強化がつづきます。反合理化闘争とは階級的組織づくりであり、職場闘争こそ階級闘争の土台であることを、三池労働者運動は、闘いの中で学び組織してきました。

1989年11月21日、総評労働運動が解体され「連合」になって今年で34年、「反合理化職場抵抗闘争」はまさに死語になっています。

しかし、拡大する資本主義の矛盾、格差拡大、人権侵害に立ち向かうには、再度この問題意識をもって階級的労働運動の再建をはかることです。労働組合は労働者階級の中心的組織として自覚し、「賃金制度の廃止」というスローガンのもとに、資本主義体制の変革、という歴史的な任務を担うことです。

 

マルクス主義は、労働者の思想

学習会は、続けることが何よりも大切です。学習会は、ただ学習するというだけでなく相互討論を通して参加している仲間が同志意識を持つようになり、運動の中で協力して活動するようになります。そのように変化・成長して組織的な力に発展します。それでは何を学ぶのか、それはマルクス主義です。

マルクス主義は、額に汗して働く労働者の思想だからです。現在の資本主義社会の矛盾が、どこから出てきているのか、資本主義とはどんなに冷酷なものか、合理化とは何か、労働者はなぜ組織的に結集しなければならないのか、等を理解し合うようになります。今日の社会の変革には、労働者階級が中心とならなければならないことを自覚するようになります。

資本主義社会の具体的な現象から本質を見抜くことを学ぶには、マルクス主義の他にないのです。

 

労働大学の果たす役割

私たち労働大学の任務は、マルクス・レーニン主義思想をまなび、広めることです。全国の職場と地域に大衆学習運動、総学習運動を組織することです。

具体的には、全国各地で取り組まれている大衆学習運動としての「労働大学まなぶ友の会運動」の強化・拡大です。資本に対する怒りを組織する『月刊まなぶ』拡大運動です。これらの運動を通して培われた「相互討論」による人間としての成長、労働者階級としての自覚と誇りです。私たちは、しっかりと根を伸ばし、根を張り、粘り強く寄り添い仲間を組織することです。

私たちの基調「四つの課題を三つに学ぶ」を換言すれば、私たち労働者は唯物史観と『資本論』に学び、労働者階級の歴史的使命を自覚し、科学的社会主義に不動の確信をもって生き抜く人間になろう、という目標を確認し合い、今日まで努力してきました。『月刊まなぶ』の内容も質的に高められ、多くの仲間の心をとらえています。(発刊時の苦労話…飯田邦雄さんから頂きました)

目指すは、人間性回復、人間解放

労働者の哲学はまず、労働者が労働者であることに誇りをもつというところから出発します。目指すは人間性回復、人間解放のたたかいであり労働者の世界観を持つことです。今日の学習と相互討論は、明日の力をつくり出します。

私が19歳の時、1967年2月「三池労組結成20周年記念集会」に参加する機会がありました。その時、三池労働者の闘いと生きざまに驚きと感動に震えたことを今でも忘れません。特に印象に残っているのは、三池主婦会や三池労組の方々との夜の地域交流会で「労働者でよかった、労働者として生きることに誇りを持っている」と言われた年輩労働者の言葉です。なぜか何もわからず感動しました。この言葉は、今日まで私の生き方の指針となっています。

人は、徹底的に考えぬき全力をあげて努力したとき、どんな困難にも負けない力を身につけることができる、と言われています。その源は、資本に対する怒りです。階級及び階級闘争を自覚することであり、資本主義的常識を打ち破り可能性を高める努力です。記録映画「みいけ」に本質が表現されています。

 

坂牛哲郎学長の遺志を受け継ぎ、ゆるぎない体制を

2003年に労働大学再建にあたり、「理論と実践」を指導され、労働大学学長としてその後の労働大学の発展に全精力を傾けていただいた坂牛哲郎学長が、2021年3月12日にご逝去されました。享年・95歳でした。改めて坂牛哲郎学長に、心より哀悼の意を表します。

その後、学長代行を務めていただいた宮坂要さんの健康上の問題もあり、大変残念なことですが、退任されました。これらを受けて「労働大学」と「まなぶ友の会運動」との組織的一体化に向けての一環として、陣立てにおいて一歩踏み込む決断をしてきました。

結果、学長に不肖私、須藤行彦が就任し副学長体制と事務局体制を強化し、新しい体制でスタートすることになりました。長年、労働大学をご指導いただいた市原芳樹さんは、2022年5月7日ご逝去されました。ご冥福をお祈りします。

私たちは、これからもゆるぎない確信をもってたたかいぬく決意です。先輩たちが困難を乗り越えて培ってきた労働大学の輝かしい歴史と伝統に恥じないよう、焦ることなく、生命の力になるよう、亀の一歩一歩の前進を仲間と共に全力を挙げて取り組みます。

今年2023年は、「労働大学」再建20周年になります。新たな一歩を踏み出すためにも、新しい事務所で事務局体制を強化し、大衆学習運動を全国の職場と地域に拡大し、お互いの健康を第一にしながら、共に頑張りましょう!

労働大学再建20周年記念集会開催要項
スローガン「労働大学とは大衆学習運動である」

思想選別による首切り合理化を進めた旧労働大学が偽装解散し、2003年に再建を勝ち取ってから、20年が経過することになりました。
「労働大学とは大衆学習運動である」をスローガンとして、労働大学再建20周年記念集会を開催し、労働者思想拡大の新たな出発点としていきますので、皆さんの積極的な参加をお願いします。



・と き  6月11日(日) 午前10時00分から(9時半受付開始)
・ところ  北とぴあ 15階 ペガサスホール
       東京都北区王子1丁目11-1
        (京浜東北線 王子駅北口徒歩2分)
        (東京メトロ南北線 王子駅直結)
・参加費  1,000円(昼食代込み)

○集会式次第
9:30 受付開始
10:00 開会
10:05 主催者代表挨拶
10:10 来賓あいさつ
10:40 メッセージ紹介
10:45 須藤行彦学長講演
12:00 昼食休憩
13:00 記録映画『みいけ』鑑賞
14:00 参加者からひと言
14:35 表紙絵入札結果発表
14:50 歌声「われら労大の仲間」「インターナショナル」
14:55 団結ガンバロー
15:00 閉会

○会場案内
 北とぴあ 15階 ペガサスホール
京浜東北線 王子駅北口徒歩2分
東京メトロ南北線 王子駅直結

2023年06月11日(日)
東京都北区「北とぴあ」(ほくとぴあ)
15階「ペガサスホール」
JR王子駅下車北口より徒歩2分
東京駅から約25分